思考には2種類ある。1つが認知機能による、いつ、どこで、誰が、何をどうやってという5W1Hを巡らせる思考。2つ目が「禅脳思考」。”ただ考える”という思考。「まぁ、いいから坐れ」という思考。禅脳思考は”揺らぎ””とらわれ”から開放してくる思考。本書はこの「禅脳思考」をすることで豊かな心でいきるスキルを教えてくれます。
ポジティブ思考には限界がある
自分の周りで起きる出来事に対して、意味付けをしていることに気づくことがほんと大切なんだと思います。意味づけをしている時点で心が"揺らいで"、"とらわれて"いるのだと気づくことができるかが大事なポイント。たとえば、仕事で上司に理不尽なことを言われたとき、嫌な気持ちになるが、それを無理にポジティブな事に捉えようとする必要ないのです。理不尽なことを言われた、以上それだけ。その事実はそこに置いておいて、今この瞬間にやるべきことを考える。その出来事に意味付けをして、自分の心が無理をしていることに気づくことが、禅脳思考の基本なのです。その意味付けは認知脳の働きで、止めることはできないことと理解する。そしてもうひとつの脳の思考「禅脳思考」を呼びだし心を整えるのがいまの世の中にはとても大事に要素なんだ思います。
"揺らがず"、"とらわれず"で「ごきげんな状態」をつくっていこうと考えると、ポジティブ思考だけでは限界があります。なぜなら、ポジティブ思考は、外界の出来事に無理やりプラスの意味付けを起こすことだからです。雨にいい意味付けをしようと悪い意味付けをしようと、意味にとらわれているときは、結局は外界の自分の心が影響を受けています。イチロー選手は、無理やりポジティブな思考はしていないと考えられます。5打数0安打を無理に「いいことだ」とか「チャンス」と捉えてしまえば、そこには自分へのウソがあり、心が揺らいだり、とらわれたりします。しかし、それに心を持っていかれず、5打数0安打の意味はそこに置いておいて、そこから何をしなければならないのかを学び、ただ次の瞬間にやってくる”今ここ”に集中しているのがイチロー選手です。
禅脳思考 著者:辻秀一
今に生きるとただ考える
不安とか後悔とかストレスは、生きている限り、逃れることはできないものです。過去をいくら考えても変わらないし、未来をいくら予想しても結局はわからない。だから「今を生きる」とただ考えるだけ。それだけで、心にフローな風が吹く。心が整うのです。日々の生活のなかで、仕事や人間関係に対して意味付けの認知脳が働いてる一方で、「今を生きる」ただ考える禅脳思考を働かせることが、より豊かな人生をの海を泳ぐことができるのです。
「今に生きるとただ考える」ように考えるだけで、これまでのように、外側に持っていかれていた自分の心が、落ち着き、切り替えられるようになります。深く考えるよりも、「今に生きる」と唱えるイメージです。認知脳は、目的語がある思考ですが、禅脳思考はジャストシンキングです。「今に生きると考える」以上、終わりです。「まあいいから考えよ」ということです。そう思考しないよりも、そう思考するほうの自分に、フローな心の変化が生じます。この思考を繰り返し意識し、体感してシェアしていると、スキル化されて、自然に「今に生きる」と考えられるようになります。
禅脳思考 著者:辻秀一
「与える」と心が変わる
リスペクト・応援・感謝の3つのマインドは心をフローな状態にする重要なエッセンス。いつもこの3つのマインドを持ち続けることが、揺るがず、とらわれずの禅脳思考の基本なのです。どんな世界でも一流の人達はこのマインドを持っているのだろう。どんな世界でも頂点にたった人にインタビューを聞くとたしかに、周りに対するリスペクトや感謝の言葉が多くでてくる。どんな相手に対してもリスペクトのマインドを持つ。どんな相手でも応援する。すべてのことに感謝する。その心を持つことで自分自身がいい心の状態になれるのです。そしていい心の状態でいるから周りにも優しくなれて、人も集まる。人が集まるからお互い支えあう。よいスパイラルに入っていくです。
インテルの長友佑都選手は、日常のあらゆるシーンでありがたいと考えていますし、ゲームの中も頭を下げてただありがたいと考えています。どんなときでも「ありがたいと考える」ことが、自分自身の心を整えることにつながると知っているのです。与えるという思考習慣は、禅脳思考の大きな柱でもあります。
禅脳思考 著者:辻秀一
成功とは、自分のベストを尽くしたときに感じられる満足感
「成功」てなんだろ?と聞かれたら、なんて答えるだろ。たくさんお金を稼ぐことが成功ではなく、頂点に立つことが成功ではないのです。そこに自分が「満足感」を感じれなければ、それは成功でないのです。たとえば、マラソンで自分のベストを尽くし練習をした。そして大会に参加してレースタイムがどうであれ、最後まで走りきったときに自分の心が満足していれば、それは成功なのだ。一生懸命行動したことに満足する思考だ。結果は自分自身ではコントロールできない部分がある。結果にとらわれずに、一生懸命行動することに満足し、心をフローに保ち、良いスパイラルに入る禅脳思考の考え方なのだ。
成功とは、お金や業績などではない。自分のベストを尽くしたときに感じられる満足感のことだ。成功とは、外界にはないといくこと。成功を決めるのは、自分自身だということ。そして成功は心の状態、すなわち、満足感だということ。一生懸命行動することに満足する思考です。結果を出せないにもかかわらず一生懸命やったことに満足していれば、人は努力しなくなるのではないか、と恐れるのは認知的な思考だと言えます。それは、常に自分に「ダメ」というレッテルを貼って、不安や恐怖を原動力とすることで人は動くという考えです。不安や恐怖をあおって、やる気を出させる外発的な考え方になります。ストレスに満ち、いつか心は折れてしまうでしょう。人は進化のスキルを生物学的に有しているので、一度満足したとしても、必ずまた向上しようとしますし、さらなる一生懸命となり、より一層の満足を得ようとします。
禅脳思考 著者:辻秀一